研修医のための知識

元々は医学部6年生・研修医向けの医学ブログでしたが、最近はオプションを利用した資産形成方法を掲載しています。

2019-01-01から1年間の記事一覧

加齢に伴う肺のコンプライアンスについて

肺のコンプライアンスには2つある 肺コンプライアンス 胸郭コンプライアンス 加齢に伴い以下のように変化する 弾性力が低下することにより、肺コンプライアンスは上昇する 胸壁が硬くなり、胸郭コンプライアンスは低下する 「弾性力が低下する」ということ…

見ればわかる肝移植の適応

肝移植はやばい病気 肝疾患でやばい病気といえば「劇症肝炎」! あと「やばい」の「ば」から「Budd-Chiari症候群」を思い出す! Budd-Chiariには、様々な疾患の名前が隠れている! PBC、PSC、HCC、Wilson病 Wilson病は、先天性代謝疾患の代表として選んだが…

心房細動にいつ除細動を行うか

心房細動(以下AF)は心房由来の高頻度で無秩序な電気的興奮により P波が消失する 心房から心室への伝導が不規則になることから リズムが不規則になる 状態のことをいう。 AFに対する治療方針は以下の3つが原則である 抗凝固療法(CHADS2スコアで決める) …

絨毛膜羊膜炎(CAM)の病態とその管理について

絨毛膜羊膜炎(以下CAM)は、以下の図のように細菌による感染が上行性に進行し、それに伴い炎症反応も上行性に波及する。 炎症がある程度進行すると 頸菅熟化 前期破水 早発陣痛 が生じ、急速に早産に至る。 CAMの分類 CAMは、不顕性と顕性CAMに分けることが…

抗VEGF抗体硝子体注射の適応のゴロ

お久しぶりです 卒業試験が終わったのでこれからまた書きます VEGF(Vascular endothelial growth factor)は血管内皮細胞増殖因子のことで、虚血・炎症などを反映して増加し、新生血管の増殖・成長や血管の透過性亢進に関わる。 抗VEGF薬を投与することで …

特発性間質性肺炎(IIPs)のまとめ

特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias : IIPs)は以下のように分類される。 急性あるいは亜急性のIIPs 急性間質性肺炎(acute interstitial pneumonia : AIP) 特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia : COP) 慢性経過の線維…

EGFR遺伝子 =肺癌=

メモ いつかまとめる 【疫学】 東洋人、女性、非喫煙者、腺癌に多い。 【分子標的薬】 EGFR-TKI ゲフィチニブ(イレッサ) エルロチニブ(タルセバ) オシメルチニブ(タグリッソ)

歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)

知的障害・認知症、てんかん、ミオクローヌス、ジストニア、運動失調をきたす 小脳、大脳皮質、基底核、脳幹 ポリグルタミン病 若年型、早期成人型、遅発性成人型

橋本脳症(いつかまとめる)

日本人の3~5%が罹患する。 橋本脳症は、「急性脳症型」「慢性精神病型」「小脳失調型」に分けられる。 甲状腺機能異常によらない自己免疫機序による脳症である(粘液水腫性昏睡とは異なる)。 ステロイド(mPSL超大量療法)が奏功する。 血清中にα-エノラー…

重症筋無力症の胸腺切除の適応(メモ)

胸腺腫を合併しているMGは切除の絶対適応。 非胸腺腫MGでは胸腺摘除は十分な根拠なし。 胸腺摘除が有効な因子として、胸腺過形成・異所性胸腺組織なし・発症から摘除までの期間が短い・若年者であること。 MuSK抗体陽性には有効性あるとは言えない。 https:/…

MuSK抗体陽性の重症筋無力症のまとめ

重症筋無力症は神経筋接合部において、アセチルコリン受容体(AChR)に対する自己抗体が存在するため、神経筋伝達障害が見られる自己免疫疾患である。 しかしMG患者のうち15%程度はAChR抗体が陰性で、そのうちの一部がMuSK抗体陽性である。 AChR抗体やMuSK抗…

循環器③ 問題解説

これは不適切な問題かもしれない 答えは④「ARではⅣ音を聴取する」です ①MSではⅠ音が減弱する 誤り。 MSではⅠ音は増強する。 Ⅰ音は 「心室収縮力の増大、M・T弁の狭窄(石灰化など)」で増大 「心室収縮力の低下、M・T弁の閉鎖不全」で減弱 これと対照的に Ⅱ…

循環器② 解説

20代の女性。主訴は突然の動悸。気管支喘息で治療中。意識清明、脈拍・血圧共に正常。心電図を示す。 対応として適切でないものを選べ。 答えは③の「ATP投与」です まず、訂正ですが 「脈拍・血圧共に正常」 なわけないですね、脈拍は 148/分 です。 この…

循環器① 解説

正しいものを選べ 正解は①「ARでは狭心症の症状がありうる」 ARでは狭心症の症状がありうる 正解。 ARでは拡張期血圧が低下する(逆流により)。 すると冠動脈に流れるはずの血流が心臓内に戻ってしまい、冠血流量が低下する。 したがって狭心症の症状が生じ…

3音の聞こえる心疾患の覚え方とその機序

3音は、拡張早期に僧房弁が開き、左心房から左心室に血液が流れ、心室壁を振動させて生じると音のこと。 つまり、心室の拡張期の容量負荷の増大を示している。 一方、4音というのは拡張後期に心房が「えいやっ」と血液を心室に流す時に生じる音であり、心…

悪性高熱症でチアノーゼになる理由

悪性高熱症のまとめはこちら misoramenn.hatenablog.com 悪性高熱症では骨格筋細胞が崩壊して カリウムやCK、ミオグロビンが放出した。 ミオグロビンはヘモグロビンと同様に酸素と結合する。 しかし、ミオグロビンはヘモグロビンと違い酸素乖離曲線が大きく…

悪性高熱症のまとめ

悪性高熱症は悪性高熱症にかかりやすい人がなる病気 概念 悪性高熱症(MH;malignant hyperhermia)の病因は、骨格筋の筋小胞体のリアノジン受容体や電位依存性Caチャネルの変異によるカルシウム代謝異常で、揮発性吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬によって誘発…

悪性高熱症でDICになる理由(熱中症でDICになる理由)

一度書いた記事なのに消えてました。むかつきます。 はてなブログアプリはもう使いません。 悪性高熱症(MH)というより、熱中症でなる理由を考える。 熱中症になると、血中で、von Willebrand因子やトモンボモジュリン、エンドトキシン、炎症性サイトカイン…

麻酔科 練習問題③ 解説

誤りを選べ 本邦ではセボフルランが最も使用されている https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/30/3/30_3_342/_pdf 10年前という古い論文で恐縮だが、上記リンクにセボフルランが使用しやすい理由が書かれてある。 抜粋すると 麻酔の導入と覚醒が迅速…

麻酔科 練習問題② 解説

誤りを選べ 問題①の方はアプリが復旧次第投稿します 肥満は麻酔の導入が早く、覚醒は遅い 肥満は機能的残気量が減少するので導入は早くなる。 しかし、脂肪組織に吸入麻酔が残るため、覚醒は遅い。 新生児の脊髄くも膜下麻酔はL2より尾側で行う これが誤り。…

パラコートに酸素禁忌な理由

パラコートとは除草剤の成分。 パラコートは細胞内に入るとNADPHなどの還元物質から電子を奪い、パラコートラジカルとなる。 ラジカルが参加されて元のパラコートに戻る際に活性酸素を発生させ、細胞内の核やタンパクを傷害させる。 パラコートはNADPHがある…

有効な拮抗薬・解毒薬がある中毒まとめ

とりあえず置いときます まだ追記するかも CO中毒・・・酸素 ➡︎ 高圧酸素療法 (高圧酸素療法を行う疾患:CO中毒、ガス壊疽、潜水病、網膜動脈閉塞症) シアン(青酸)中毒・・・亜硝酸アミル、チオ硫酸ナトリウム 麻薬・・・ナロキソン メタノール・・・エ…

フェンタニルとレミフェンタニルの違い

フェンタニル レミフェンタニルと薬理学的特徴は類似しており、鎮痛効果も同等である。非アルカロイド系の麻薬。鎮痛作用はモルヒネの200倍と言われる。20~40分持続する。モルヒネと違いヒスタミン遊離作用はない。低血圧は起こしにくい。副作用として強い呼…

小腸腫瘍まとめ

小腸腫瘍とは全消化管腫瘍の5%ほど。 従来の内視鏡では検査が困難であったが、2000年以降カプセル内視鏡、ダブルバルーン内視鏡という新たな小腸内視鏡検査法が開発され、小腸腫瘍は発見される機会が増えている。 小腸腫瘍は日本では以下の3つが主たるもの…

Wilson病に亜鉛製剤が効く機序

Wilson病についての簡単な内容は以下参照。 misoramenn.hatenablog.com wilson病に対する治療は 銅キレート剤(D-ペニシラミン、トリエンチン) 亜鉛製剤 に大別される。 亜鉛製剤について取り上げる。 亜鉛の作用機序は以下の如し 小腸粘膜におけるメタロチ…

Howell-Jolly小体の意味するところ

Howell-Jolly小体は、ギムザ染色で好塩基性に染まる赤血球内の円形の封入体のこと。 これは赤血球を産生する際に、染色体の一部が核に融合されずに残った「核の遺残物」と考えられている。 正常ならば、脾臓の網内系を赤血球が通過する際に、細胞から絞り出…

肝臓の良性腫瘍まとめ

肝血管腫 限局性結節性過形成 肝細胞腺腫 肝血管腫 概念 肝良性腫瘍の80%以上を占める。 一般的に単発性であるが10%程度は多発性に見られる。 肉眼的には境界鮮明な暗赤色腫瘤で割面は円形、蜂巣状の血管腔を示す。 大多数は無症状で偶然発見される。 巨大例…

H.pylori除菌がGERDの原因となる理由

GERD(胃食道逆流症)は、胃内容物が食堂や口腔内に逆流することで、胸焼けや呑酸などの症状を呈する病態である。 内視鏡検査で粘膜症状を認めるびらん性GERDと粘膜症状が見られない非びらん性GERD(NERD)に分類される。 GERDの発症要因として以下が挙げら…

巨赤芽球性貧血に葉酸単独が禁忌な理由

正確にいうと 「Vit.B12欠乏もしくは原因が不明な巨赤芽球性貧血に対して葉酸単独投与は禁忌」 巨赤芽球性貧血は骨髄に巨赤芽球が出現する疾患である。 巨赤芽球性貧血は、Vit.B12欠乏によるものと、葉酸欠乏によるもの、もしくはその両方が原因として考えら…

原発性アルドステロン症でテタニーになる理由

原発性アルドステロン症は副腎皮質の球状層からアルドステロンが過剰に分泌する疾患である 原発性アルドステロン症の特徴は3つあげられる 高血圧 低カリウム血症 代謝性アルカローシス アルドステロンは腎の集合管に作用し、Naと水の再吸収を促進する そのた…