研修医のための知識

元々は医学部6年生・研修医向けの医学ブログでしたが、最近はオプションを利用した資産形成方法を掲載しています。

SSSSで口腔内病変が発生しない理由(天疱瘡も含めて)

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デスモソームの話です。

デスモソームは表皮の細胞間橋であるタンパクですね。

上図のようにデスモグレインは(国試的に必要なものとして)Dsg1Dsg3があります。

これらへの自己抗体が天疱瘡を引き起こします。

 

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この記事の内容です。

 

 

尋常性天疱瘡は「粘膜優位型」と「粘膜皮膚型」があります。

 

粘膜優位型の尋常性天疱瘡

 粘膜優位型の尋常性天疱瘡はDsg3への自己抗体のため

粘膜病変が多く出現し、皮膚病変は限定的となります。下図のように表皮下層で水泡を形成します。

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粘膜皮膚型の尋常性天疱瘡

粘膜皮膚型の尋常性天疱瘡はDsg1・3への自己抗体のため

粘膜にも皮膚にも病変が出現します。粘膜優位型と同様に表皮下層で水疱を形成します。

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落葉状天疱瘡

一方、落葉状天疱瘡はDsg1への自己抗体のため

下図のように表皮上層で水疱を形成し、まるで落ち葉のようにパラパラと取れるわけです。

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上の例で分かる通り、

基本的にデスモソームのガードが弱い部分が障害を受けます

 

 

SSSSで口腔内病変が生じない理由

そして、本題のSSSSは、黄色ブドウ球菌が出す毒素によりDsg1が障害をうけます。

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なのでSSSSでは皮膚の症状はでますが、口腔内病変は生じません。