研修医のための知識

元々は医学部6年生・研修医向けの医学ブログでしたが、最近はオプションを利用した資産形成方法を掲載しています。

重症筋無力症の胸腺切除の適応(メモ)

胸腺腫を合併しているMGは切除の絶対適応。 非胸腺腫MGでは胸腺摘除は十分な根拠なし。 胸腺摘除が有効な因子として、胸腺過形成・異所性胸腺組織なし・発症から摘除までの期間が短い・若年者であること。 MuSK抗体陽性には有効性あるとは言えない。 https:/…

MuSK抗体陽性の重症筋無力症のまとめ

重症筋無力症は神経筋接合部において、アセチルコリン受容体(AChR)に対する自己抗体が存在するため、神経筋伝達障害が見られる自己免疫疾患である。 しかしMG患者のうち15%程度はAChR抗体が陰性で、そのうちの一部がMuSK抗体陽性である。 AChR抗体やMuSK抗…

循環器③ 問題解説

これは不適切な問題かもしれない 答えは④「ARではⅣ音を聴取する」です ①MSではⅠ音が減弱する 誤り。 MSではⅠ音は増強する。 Ⅰ音は 「心室収縮力の増大、M・T弁の狭窄(石灰化など)」で増大 「心室収縮力の低下、M・T弁の閉鎖不全」で減弱 これと対照的に Ⅱ…

循環器② 解説

20代の女性。主訴は突然の動悸。気管支喘息で治療中。意識清明、脈拍・血圧共に正常。心電図を示す。 対応として適切でないものを選べ。 答えは③の「ATP投与」です まず、訂正ですが 「脈拍・血圧共に正常」 なわけないですね、脈拍は 148/分 です。 この…

循環器① 解説

正しいものを選べ 正解は①「ARでは狭心症の症状がありうる」 ARでは狭心症の症状がありうる 正解。 ARでは拡張期血圧が低下する(逆流により)。 すると冠動脈に流れるはずの血流が心臓内に戻ってしまい、冠血流量が低下する。 したがって狭心症の症状が生じ…

3音の聞こえる心疾患の覚え方とその機序

3音は、拡張早期に僧房弁が開き、左心房から左心室に血液が流れ、心室壁を振動させて生じると音のこと。 つまり、心室の拡張期の容量負荷の増大を示している。 一方、4音というのは拡張後期に心房が「えいやっ」と血液を心室に流す時に生じる音であり、心…

悪性高熱症でチアノーゼになる理由

悪性高熱症のまとめはこちら misoramenn.hatenablog.com 悪性高熱症では骨格筋細胞が崩壊して カリウムやCK、ミオグロビンが放出した。 ミオグロビンはヘモグロビンと同様に酸素と結合する。 しかし、ミオグロビンはヘモグロビンと違い酸素乖離曲線が大きく…

悪性高熱症のまとめ

悪性高熱症は悪性高熱症にかかりやすい人がなる病気 概念 悪性高熱症(MH;malignant hyperhermia)の病因は、骨格筋の筋小胞体のリアノジン受容体や電位依存性Caチャネルの変異によるカルシウム代謝異常で、揮発性吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬によって誘発…

悪性高熱症でDICになる理由(熱中症でDICになる理由)

一度書いた記事なのに消えてました。むかつきます。 はてなブログアプリはもう使いません。 悪性高熱症(MH)というより、熱中症でなる理由を考える。 熱中症になると、血中で、von Willebrand因子やトモンボモジュリン、エンドトキシン、炎症性サイトカイン…

麻酔科 練習問題③ 解説

誤りを選べ 本邦ではセボフルランが最も使用されている https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/30/3/30_3_342/_pdf 10年前という古い論文で恐縮だが、上記リンクにセボフルランが使用しやすい理由が書かれてある。 抜粋すると 麻酔の導入と覚醒が迅速…

麻酔科 練習問題② 解説

誤りを選べ 問題①の方はアプリが復旧次第投稿します 肥満は麻酔の導入が早く、覚醒は遅い 肥満は機能的残気量が減少するので導入は早くなる。 しかし、脂肪組織に吸入麻酔が残るため、覚醒は遅い。 新生児の脊髄くも膜下麻酔はL2より尾側で行う これが誤り。…

パラコートに酸素禁忌な理由

パラコートとは除草剤の成分。 パラコートは細胞内に入るとNADPHなどの還元物質から電子を奪い、パラコートラジカルとなる。 ラジカルが参加されて元のパラコートに戻る際に活性酸素を発生させ、細胞内の核やタンパクを傷害させる。 パラコートはNADPHがある…

有効な拮抗薬・解毒薬がある中毒まとめ

とりあえず置いときます まだ追記するかも CO中毒・・・酸素 ➡︎ 高圧酸素療法 (高圧酸素療法を行う疾患:CO中毒、ガス壊疽、潜水病、網膜動脈閉塞症) シアン(青酸)中毒・・・亜硝酸アミル、チオ硫酸ナトリウム 麻薬・・・ナロキソン メタノール・・・エ…

フェンタニルとレミフェンタニルの違い

フェンタニル レミフェンタニルと薬理学的特徴は類似しており、鎮痛効果も同等である。非アルカロイド系の麻薬。鎮痛作用はモルヒネの200倍と言われる。20~40分持続する。モルヒネと違いヒスタミン遊離作用はない。低血圧は起こしにくい。副作用として強い呼…

小腸腫瘍まとめ

小腸腫瘍とは全消化管腫瘍の5%ほど。 従来の内視鏡では検査が困難であったが、2000年以降カプセル内視鏡、ダブルバルーン内視鏡という新たな小腸内視鏡検査法が開発され、小腸腫瘍は発見される機会が増えている。 小腸腫瘍は日本では以下の3つが主たるもの…

Wilson病に亜鉛製剤が効く機序

Wilson病についての簡単な内容は以下参照。 misoramenn.hatenablog.com wilson病に対する治療は 銅キレート剤(D-ペニシラミン、トリエンチン) 亜鉛製剤 に大別される。 亜鉛製剤について取り上げる。 亜鉛の作用機序は以下の如し 小腸粘膜におけるメタロチ…

Howell-Jolly小体の意味するところ

Howell-Jolly小体は、ギムザ染色で好塩基性に染まる赤血球内の円形の封入体のこと。 これは赤血球を産生する際に、染色体の一部が核に融合されずに残った「核の遺残物」と考えられている。 正常ならば、脾臓の網内系を赤血球が通過する際に、細胞から絞り出…

肝臓の良性腫瘍まとめ

肝血管腫 限局性結節性過形成 肝細胞腺腫 肝血管腫 概念 肝良性腫瘍の80%以上を占める。 一般的に単発性であるが10%程度は多発性に見られる。 肉眼的には境界鮮明な暗赤色腫瘤で割面は円形、蜂巣状の血管腔を示す。 大多数は無症状で偶然発見される。 巨大例…

H.pylori除菌がGERDの原因となる理由

GERD(胃食道逆流症)は、胃内容物が食堂や口腔内に逆流することで、胸焼けや呑酸などの症状を呈する病態である。 内視鏡検査で粘膜症状を認めるびらん性GERDと粘膜症状が見られない非びらん性GERD(NERD)に分類される。 GERDの発症要因として以下が挙げら…

巨赤芽球性貧血に葉酸単独が禁忌な理由

正確にいうと 「Vit.B12欠乏もしくは原因が不明な巨赤芽球性貧血に対して葉酸単独投与は禁忌」 巨赤芽球性貧血は骨髄に巨赤芽球が出現する疾患である。 巨赤芽球性貧血は、Vit.B12欠乏によるものと、葉酸欠乏によるもの、もしくはその両方が原因として考えら…

原発性アルドステロン症でテタニーになる理由

原発性アルドステロン症は副腎皮質の球状層からアルドステロンが過剰に分泌する疾患である 原発性アルドステロン症の特徴は3つあげられる 高血圧 低カリウム血症 代謝性アルカローシス アルドステロンは腎の集合管に作用し、Naと水の再吸収を促進する そのた…

アルカローシスでテタニーが生じる理由

アルカローシスはpHが7.40よりも低下した状態である アルカローシスになっても検査上カルシウムイオンの値は低下しないが、実際に機能しているカルシウムイオンの値が低下するのでテタニーが生じる そもそも、血液中のカルシウムイオンは、「アルブミンと結…

Zollinger Ellison症候群で水様性の便になる理由

Zollinger-Ellison症候群は 難治性消化性潰瘍 胃酸分泌亢進 膵ラ島非β細胞腫瘍 を3徴とする、ガストリノーマです ガストリノーマなので、ガストリンが産生し、壁細胞に働きかけて胃酸が過剰に分泌します その結果、胃や十二指腸に多発性の潰瘍をきたしてし…

Dubin-Johnson症候群で黒色肝になる理由

Dubin-Johnson症候群で黒色肝になる理由 Dubin-Johnson症候群は高直接ビリルビン血症を引き起こす体質性黄疸である 高ビリルビン血症以外は、肝機能や画像上異常値を示さず、黄疸以外に症状を認めない 同じ高直接ビリルビン血症を示すRotor症候群は、ICG試験…

感染症なのにステロイドを投与する疾患といえば?

「感染症にステロイドは禁忌」 それは過去の遺残ですね 例外を覚えましょう

サイアザイド利尿薬で高カルシウム血症・低マグネシウム血症になる理由

遠位尿細管ではNa-Clチャネルがある Na-ClチャネルではNaを吸収するとともに水分を吸収している サイアザイド系利尿薬ではこのチャネルを阻害する(以下の図参照) サイアザイド系によりNaを吸収できない 細胞内のNa濃度が低下する そのため、別のチャネルか…

ループ利尿薬で低カルシウム・マグネシウム血症になる理由

ループ利尿薬はヘンレの上行脚のところのNa/K/2Clのチャネルに作用する利尿薬です チャネルの作用は以下のようになっており、一度吸収されたKは再度尿細管内に放出されます この際、尿細管内と外で電位に差が生じます その差を利用してCaを尿細管から吸収し…

特発性細菌性腹膜炎の腹水はなぜ漏出性なのか?

感染症が原因だから滲出性じゃないのかーー?! いいえ、漏出性です 特発性細菌性腹膜炎(SBP)は肝硬変患者に起こりやすい腹膜炎です 肝硬変患者は、低アルブミン血症であるため浮腫・腹水を呈する場合が多いです 低アルブミン血症であると、腸管浮腫が生じ…

見張りイボってなんじゃらホイ

なんやねん見張りイボって なに見張ってんねん という風に思ってしまいます 裂肛に合併するものです 裂肛とは、便秘気味の人の硬い便が通過する際に形成される裂創です 切れ痔とも言います 裂肛自体は数日で回復しますが、再発を繰り返してしまうと慢性的な…

B型肝炎の様々な抗原・抗体の出方とその理由

sec,ces(セクセス)なんて覚え方もありますが、それぞれの意味を覚えましょう B型肝炎にはさまざまな抗原や抗体が存在しています 抗原には HBs抗原 HBe抗原 HBc抗原 抗体には HBc抗体 HBe抗体 HBs抗体 が存在します まず以下の図のようにHBVはHBs(surface…